2025/08/09 09:00
「腰が原因ではない!?」〜SFMAの考え方からみた腰痛の原因〜
こんにちは、いまだ接骨院です。
腰痛でお悩みの患者さんに、よくこんな質問をされます。
「腰が痛いんだから、腰が悪いんですよね?でもレントゲンやMRIでは異常がないと言われたんです…」
もちろん腰が原因の場合もありますが、必ずしもそうとは限りません。
私たちが取り入れている【SFMA(選択的機能的動作評価)】という評価法では、「痛みが出ている場所」と「問題のある場所」は必ずしも同じではないという考え方で評価します。
◆ SFMAってなに?
SFMAとは、ケガや痛みの根本的な原因を探すための「全身の動きのチェック方法」です。
一部だけを見るのではなく、身体全体のつながりを診ていくのが特徴です。
腰だけを診て終わりではなく、「なぜ腰に負担がかかっているのか?」を動作の中から探っていきます。
◆ 腰は“代償”しているだけ?
腰という場所は、本来それほど大きな動きが必要ない“安定”の役割を持つ部位です。
しかし、以下のような他の部位の動きが悪くなると、腰が代わりに頑張らざるを得なくなります。
- 股関節の柔軟性の低下
- 胸椎(背中)の動きの悪さ
- 足関節の可動域制限
- 肩甲骨が不安定 など
つまり、本当の問題は「腰以外」にあることが多いのです。
◆ よくある例:股関節が動かないと…
股関節が硬いと、前屈やしゃがみ込む動作のときに腰が余計に動くようになります。
それが毎日のように続くと、腰の筋肉を使いすぎて疲労がたまり、痛みとしてあらわれるのです。
SFMAではこうした「本来動くべきところが動いていない → 他が代償する → 結果として腰が痛くなる」という「運動連鎖(キネティックチェーン)」を大切に考えています。
◆ 腰の筋肉の緊張をほぐすだけでは治らない理由
痛いところをマッサージしたり電気をあてたりするだけでは、根本的な改善にならないこともあります。そのため、一度良くなったと思っても繰り返し腰痛を起こしてしまうことがあります。
SFMAの評価で「原因の場所」を見つけて、そこにアプローチすることが腰痛の本質的な改善につながります。
◆ まとめ:腰痛を根本から治したい方へ
腰痛の原因は腰とは限りません
身体全体の動きをチェックすることが大切です
SFMAを活用することで、根本的な原因が見えてきます
当院では、腰痛の方に対して「動作評価 → 原因の特定 → 個別の施術・運動指導」という流れで対応しています。
もちろん、腰の筋肉の緊張が強すぎる場合はそもそも動かせないので、腰に対してアプローチします!
「なかなか腰痛が良くならない…」
「毎回、同じところが痛くなる…」
そんな方は、ぜひ一度、当院の施術を受けてみてください。
2025/07/07 09:00
怪我の予防と再発防止に! エキセントリックトレーニングのすすめ
今回は、「エキセントリックトレーニング」についてご紹介します。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、実はケガの予防やリハビリ、パフォーマンスアップにも効果的なトレーニング方法です。
<エキセントリックトレーニングとは?>
筋肉が伸ばされながら力を発揮する動きを「エキセントリック(遠心性)収縮」といいます。
たとえば、スクワットでゆっくりしゃがむ動作や、階段を下りる動作などがこれにあたります。
この動きを意識的に取り入れて行うのがエキセントリックトレーニングです。
<有効性①:筋力アップと柔軟性の向上>
エキセントリックトレーニングでは、筋肉にかかる負荷が高いため、効率よく筋力を高めることができます。
また、筋肉が伸ばされる過程で動きの柔軟性も高まり、可動域の改善にもつながります。
<有効性②:ケガの予防と再発防止>
特に、アキレス腱炎やハムストリングの肉離れ、膝の痛み(ジャンパー膝や腸脛靭帯炎など)のリハビリや予防に効果があることが多くの研究でわかっています。
再発しやすいケガに対して、再発率を下げる目的でも活用されています。
<有効性③:関節への負担が少ない>
エキセントリック動作は比較的ゆっくりした動きが多いため、関節への衝撃が少なく、シニア世代や痛みのある方でも取り入れやすいのが特徴です。
<どんな人におすすめ?>
- スポーツでケガをしやすい方
- 以前ケガをして、再発を防ぎたい方
- 筋力トレーニングに取り組みたいけど、関節の痛みが気になる方
<エキセントリックトレーニングのメニュー例>
1) アキレス腱トレーニング(ヒールドロップ)
対象:アキレス腱炎・足底筋膜炎
方法:段差(階段など)に爪先をかけて立つ → 片足でゆっくりとかかとを下ろしていく(5~8秒) → 反対足で元の位置まで戻す(上げるときは補助)
回数の目安:10回×2〜3セット/日
2) ハムストリングトレーニング(ノルディックハムストリング)
対象:ハムストリングの肉離れ予防
方法:膝立ちになり、足首を誰かに押さえてもらう or 固定する → ゆっくり前方へ体を倒していく(手で着地してOK) → 起き上がるときは腕を使って補助する
回数の目安:5回×2セット/週2〜3回から
3) 大腿四頭筋トレーニング(スロースクワット)
対象:膝の痛み(ジャンパー膝・変形性膝関節症)
方法:足を肩幅に開いて立つ → 5~8秒かけてゆっくりしゃがむ → 座りきる前に止めて、元に戻る
回数の目安:10回×2〜3セット/日
当院では、痛みや身体の状態に合わせて、適切なエキセントリックトレーニングの方法をアドバイスしています。無理なく、効果的にケガを予防・改善していきましょう!
2025/06/16 09:00
【熱中症にご注意!】JFAも対策を強化~夏のスポーツと健康管理
日差しが強くなり、気温が急激に上がってくるこの季節、熱中症への注意がますます重要になってきました。
2024年11月に日本サッカー協会(JFA)が育成年代(U-12、U-15、U-18など)の選手を対象に、7月・8月には原則として公式戦を行わない方針を打ち出したことが話題になっています。これは、選手の命を守るための非常に重要な取り組みです。
<熱中症とは?>
熱中症は、暑い環境下で体温の調節がうまくいかなくなり、体内の水分や塩分のバランスが崩れることで起こります。軽度であればめまいや立ちくらみで済みますが、重度になると意識障害やけいれんを引き起こし、命に関わることもあります。
<なぜ夏のスポーツが危険なのか?>
夏場の運動は、体温が急上昇しやすく、特に子どもや高齢者は体温調節機能が未発達・低下しているため、リスクが高まります。炎天下での練習や試合は、水分補給が間に合わず、熱中症になる危険性が極めて高いのです。
JFAが試合を控える決断をしたのも、子どもたちが健康を損なうことなく、安心してスポーツに取り組める環境を守るためです。育成年代の指導者の方々も夏場の練習は、十分対策をして気を付けて行ってください。
<スポーツ活動中の熱中症による事故の実態>
過去15年間(2005~2020年度)で、学校における熱中症が原因の死亡事故は27件報告されており、その約8割にあたる22件が体育的部活動中に発生しています。特に野球部での事故が最も多く、次いでラグビー、柔道、サッカー、剣道と続いています 。
また、2023年7月28日には、部活動の帰宅中に中学生が熱中症とみられる症状で倒れ、意識不明の状態で病院に搬送され、死亡するという痛ましい事故も発生しています 。
<熱中症対策>
以下のような対策をぜひ意識してみてください。
- こまめな水分補給(のどが渇く前に)
- 適度な塩分摂取
- 涼しい服装や帽子の着用
- 無理な運動を控える
- 冷房や扇風機の活用
- 体調が悪いと感じたらすぐに休む
- 練習や試合の前にプレクーリング(手掌や足裏の末梢冷却、アイススラリーなど)を行う
熱中症になってしまったら、アイスバスなどでとにかく体温を下げる必要があります。夏場の練習や試合の際にはその準備を行っておくことも重要です。
<最後に>
「がんばること」が美徳とされがちな日本のスポーツ文化ですが、何よりも大切なのは「命」と「健康」です。JFAのように選手の健康を第一に考える姿勢が、これからのスポーツ界でもますます求められるでしょう。
皆さんもこの夏、無理をせず、体としっかり向き合ってお過ごしくださいね。
暑熱環境下におけるサッカー活動について(周知).pdf (0.44MB)
2025/05/12 09:00
新入生に多いケガに注意!
4月に新学期がスタートし、新たに中学・高校に進学された皆さん、おめでとうございます!
新しい環境での学校生活や部活動にワクワクしている一方で、身体には今までとは違う負担がかかる時期でもあります。今回は、この時期に多く見られる新入生のケガについて、原因や対策をご紹介します。
1. 成長期に多い「オスグッド病」
中学生男子に特に多く、膝蓋骨の下の脛骨粗面という場所が痛くなる症状です。ジャンプやダッシュの多いスポーツに多く見られます。
原因:大腿四頭筋の収縮により脛骨粗面に牽引ストレスがかかり起こります。大腿四頭筋の柔軟性の低下や踏み込む動作の際に大腿四頭筋が過剰に収縮してしまうことが原因であることが多くみられます。
対策:脛骨粗面に過剰な負荷をかけないような動作の習得、ストレッチとアイシング、無理をしないことが大切です。
2. 初心者に多い「足関節の捻挫」
慣れない運動で足をひねるケガ。特に運動部に入りたての新入生に多いです。
原因:着地の際に人の足を踏んで捻るようなアクシデントもありますが、素早い方向転換などの動作の際にうまく接地できずに捻ってしまうことも多くみられます。
対策:正しい応急処置(RICE)と施術を行った後に、再発予防のリハビリが必要です。特に初めての捻挫の場合は慎重に復帰したほうが望ましいです。
3. 繰り返し動作による「疲労骨折」
足の甲(中足骨)やすね(脛骨・腓骨)に多く、陸上・テニス・バスケなど同じ動作を続けるスポーツで起こりやすいケガです。
原因:骨に繰り返し負担がかかることで起こります。バランスの悪さやアライメント(骨配列)の悪さによって起こることが多くみられます。
対策:痛みが出たらすぐに運動を中止し、早めの受診を。レントゲンやMRIなどで検査が必要になります。当院では、バランス能力の向上やアライメントの修正などを目的とした施術やストレッチ・トレーニング指導を行います。
4. 見逃されやすい「腰椎分離症」
特に野球・サッカー・バレーボールなどで、腰を反らす・ひねる動作が多い競技で多く見られます。
腰の奥が痛く、長時間座っていたり、起き上がる・反らす動きで痛みが出るのが特徴です。初期は痛みだけで済みますが、放置すると「分離」が進行し、長期間スポーツができなくなることもあります。
多くの人は少し進行した状態で発見されることが多いため、3~6か月プレーできないことがあります。
原因:成長期の骨は柔らかく、繰り返しの負荷で腰椎(背骨の一部)にヒビが入ることで起こります。股関節・胸郭の可動性の低下や体幹の安定性の低下により腰椎が不安定な状態でプレーを続けていて起こることが多くみられます。
対策:早期発見・早期治療が非常に重要です。違和感があるときは無理せず、早めに医療機関でレントゲンやMRI、CTなどの検査を行う必要があります。当院では「状態の確認」や「骨癒合促進のための物理療法」、「原因となる股関節・胸郭の可動性向上、体幹の安定性向上させるための施術やストレッチ・トレーニング指導」が可能です。
<最後に>
新しい環境で一生懸命がんばる子どもたちの姿は本当に素晴らしいものです。
でも、「無理をしすぎないこと」、「早めに体の声を聞くこと」も大切です。
いまだ接骨院では、スポーツを頑張るお子さまのケガのケアや予防、トレーニングアドバイスも行っています。
「ちょっと痛いな」「気になるな」と思ったら、お気軽にご相談くださいね!
2025/04/30 17:20
代表的な股関節の痛みの種類について
日常生活の中で「歩くと股関節が痛い」「立ち上がるときに違和感がある」など、股関節の痛みに悩まされている方はいらっしゃいませんか?
股関節は、体重を支える重要な関節のひとつで、痛みが出ると歩行や日常動作に大きな支障をきたします。今回は、股関節で見られる代表的な痛みの種類について、原因や特徴を交えながらご紹介します。
1. 変形性股関節症
中高年の女性に多く見られる疾患で、股関節の軟骨がすり減ることで痛みが生じます。
症状の特徴:歩き始めや立ち上がり時に痛みが出る、股関節が硬くなる
原因:加齢、先天性の股関節脱臼、骨盤の歪みなど
2. 股関節唇損傷
股関節の中にある「関節唇(かんせつしん)」という軟骨が傷つくことで起こります。
症状の特徴:足の付け根が引っかかるような痛み、動かすと「コリッ」と音が鳴る
原因:スポーツや繰り返しの動作による負担、先天的な形状の異常など
3. 鼠径部痛症候群
スポーツ選手に多く、股関節の前面(鼠径部)に痛みを感じます。
症状の特徴:キックやダッシュなどの動作で痛み、休むと軽快するが再発しやすい
原因:筋肉や腱の使いすぎ、不安定な骨盤の動きなど
4. 坐骨神経痛
股関節周辺だけでなく、臀部から太もも、ふくらはぎにかけてのしびれや痛みを伴います。
症状の特徴:足を動かさなくてもズキズキするような痛みやしびれ
原因:坐骨神経が圧迫されることによる
5. 筋肉や腱の炎症
長時間の立ち仕事や無理な姿勢、運動のしすぎなどで筋肉や腱に炎症が起こることもあります。
症状の特徴:特定の動作で痛み、ストレッチで和らぐことも
原因:筋疲労、ストレッチ不足、姿勢の乱れなど
6. 弾発股(だんぱつこ)【NEW】
症状の特徴:股関節の前・横・後ろで「パキッ」「コキッ」と音がする。違和感や痛みを伴うこともある
原因:腸腰筋や大腿筋膜張筋などの腱が骨に引っかかることで音が鳴る「外側型・内側型の弾発股」、関節内部での障害による「関節内型」:スポーツや柔軟性の高い動きをする方(バレエ、ダンスなど)に多く見られる
注意点:音だけで痛みがない場合は経過観察でも問題ないことがありますが、痛みや引っかかり感が強い場合は施術やストレッチ、運動制限が必要です
<まとめ>
股関節の痛みにはさまざまな種類と原因があります。症状によって適切な対処法も異なるため、「そのうち治るだろう」と放置せず、早めの対処が重要です。
股関節の安定性と可動性の問題や左右のバランスの悪さから片側に負荷がかかっているなどの問題も多く見られます。たとえ痛みがなくなったとしても、変形した股関節が元に戻るわけではありませんので、現在の問題を明確にして(レントゲンやMRIなどの検査が必要な場合は整形外科を紹介することもあります)、対処することで進行させないことも重要です。
股関節の違和感や痛みでお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。