2025/12/08 09:00
肉離れの再発について
肉離れはなぜ再発しやすい? 〜再発率と原因について〜
肉離れはスポーツ中だけでなく、日常生活の中でも起こりうるケガですが、一度治ったと思っても再発しやすいという特徴があります。実際に、「しばらく調子が良かったのに、また同じところを痛めてしまった」という声を多く耳にします。
今回は、肉離れの再発率と再発の主な原因について解説します。
<肉離れの再発率>
肉離れは非常に再発しやすいケガとして知られています。スポーツ医学の分野では、部位や重症度によって差はありますが、
再発率は約20〜30%と報告されることが多く、特に太ももの裏(ハムストリングス)は再発率が高い傾向があります。
再発しやすい理由には、以下のような要素が関係しています。
【肉離れが再発する主な原因】
① 損傷部位の完全な修復前に復帰してしまう
痛みが引いても、筋肉内部の組織が完全には修復されていない場合があります。
- 痛みが消えるまで:約1〜2週間
- 筋繊維の完全修復:数週間〜数ヶ月
というタイムラグがあります。
痛みがなくなった=治った ではないため、早期にスポーツや運動に戻ると再発リスクが高まります。
② 柔軟性(ストレッチ不足)の低下
ケガをすると、筋肉は防御反応として硬くなります。
柔軟性が不十分なまま強い負荷がかかると、同じ部分にストレスが集中し再発しやすくなります。
③ 筋力のアンバランス
- 太ももの前後の筋力差
- 左右の筋力差
- 体幹の安定性不足
など、筋力バランスが崩れていると特定の部位に負担が集中し、再度肉離れを起こしやすくなります。
④ フォームの問題(動作の癖)
走り方や姿勢、ジャンプ・ストップ動作などにクセがあると、筋肉に偏った負担がかかる場合があります。
本人では気づきにくく、繰り返し同じ場所を痛めてしまう原因のひとつです。
⑤ ウォーミングアップ不足
十分に温まっていない筋肉は柔軟性が低下し、急な動きに耐えられなくなります。一般的に筋温が上がるまでに10分程度かかると言われています。
特に気温が低い季節は要注意です。
⑥ 日常生活での負荷蓄積
デスクワークによる筋肉の硬さや、立ちっぱなしの姿勢など、生活習慣の影響で筋肉が疲労しているケースもあります。
疲労が抜けないまま運動すると、再発につながりやすくなります。
<まとめ>
肉離れは「治りかけ」が最も危険
肉離れは再発率が高く、痛みがなくなった瞬間が一番危ないとも言われます。
再発を防ぐためには、
- 適切な施術
- 柔軟性の回復
- 筋力バランスの調整
- 正しいリハビリ
が非常に重要です。
当院では、症状に合わせた施術はもちろん、再発予防のためのストレッチやトレーニング指導も行っています。
「また痛めないために」しっかりとサポートしますので、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。
2025/11/13 09:00
打撲と肉離れの初期対応の違い
スポーツや日常生活で「ぶつけた」「足をひねった」「走っていてふくらはぎがピキッとした」。そんなとき、ケガの種類によって初期対応が少し違います。
ここでは、打撲(だぼく)と肉離れの違い、そして正しい初期対応について分かりやすくご紹介します。
<打撲とは?>
打撲は、外からの衝撃で筋肉や皮下組織(皮膚の下の部分)が傷ついた状態です。
転倒したり、ボールや人とぶつかったときに起こりやすく、内出血や腫れ、痛みが生じます。
【打撲の主な症状】
- 押すと痛い(圧痛)
- 腫れや青あざ(皮下出血)
- 動かすと少し痛いが、力を入れられることも多い
<肉離れとは>
肉離れは、筋肉の一部が引き伸ばされすぎて部分的に切れた状態です。
主に運動中、急なダッシュやジャンプ、ストップ動作で起こります。
【肉離れの主な症状】
- 「ブチッ」「ピキッ」とした感覚がある
- 直後から強い痛みで歩けないこともある
- 筋肉を伸ばしたり力を入れると痛い
- 時間が経つと腫れや内出血が出てくる
<打撲の時のポイント>
- 打撲直後の出血を最小限にとどめるために可能な範囲でストレッチした状態でアイシングする
- 患部を弾性包帯などで圧迫する(RICE処置)
- 腫れや皮下出血が落ち着いてきたらできるだけ早期に温めて動かす
- 骨化性筋炎にならないようにするため、患部への刺激の強いマッサージは避ける
<肉離れの時のポイント>
- 受傷直後のストレッチ痛を確認しておく(ストレッチ感覚があり痛みが軽度であれば損傷も軽度と判断できる)
- ストレッチ痛が明らかなものは、そのままにせずに受診する
- 筋線維だけでなく腱の損傷があるものは復帰までに時間がかかる
- 再発することが多いため、復帰にはストレッチ感覚や筋力を取り戻すことが重要
打撲と肉離れでは初期対応が少し異なるだけでなく、施術や復帰の際に気をつけることも異なります。
打撲の際の骨化性筋炎、肉離れの再発しないようにスポーツに復帰することは気をつけなければいけません。当院では状況や症状に合わせて施術、復帰のために必要なトレーニングも行います。打撲や肉離れでお困りの方はぜひご相談ください!
2025/10/06 09:00
五十肩の評価と施術方針
1. 基本的視点
当院では五十肩の患者様だけではありませんが、可動性の問題(Mobility dysfunction)安定性/運動制御の問題(Stability/Motor Control dysfunction)を分けて考えます。
五十肩の患者では「単に肩関節だけの動きが悪い」とは限らず、「胸椎や肩甲帯の可動性低下」、「運動制御の破綻」が複合していることが多いからです。
2. 五十肩で想定される典型的なパターン
<可動性の問題>
- 肩関節包(特に後方・下方)の硬さ
- 肩甲上腕リズムの制限
- 胸椎伸展・回旋の可動性の低下
- 胸郭拡張の可動域の低下
<安定性・運動制御の問題>
- 肩甲骨周囲筋(前鋸筋・下部僧帽筋)の機能不全
- ローテーターカフの協調性低下
- 体幹から上肢への力伝達の不良
3. 評価の流れ
<肩を動かすことで痛みと代償動作のチェック>
「痛み」「可動域制限」の有無と原因を分類
- 肩関節そのものの可動域(外旋・内旋・水平伸展)
- 胸椎伸展・回旋の可動性
- 肩甲骨のモビリティ/安定性
- 頸椎の可動性
4. 施術方針の立て方
(1) 疼痛・拘縮期(Acute〜Frozen stage)
目的:炎症管理と過剰な代償運動の抑制
<介入例>
- 肩関節自体は無理に動かさず、胸椎・肩甲骨の可動域維持
- 軽度な振り子運動や等尺性収縮で循環改善
- 呼吸法(胸郭拡張による胸椎伸展アプローチ)
(2) 拘縮が強い時期(Adhesive stage)
目的:可動域の増大+肩甲上腕リズムの回復(ここで時間がかかることが多いです)
<介入例>
- 後方関節包・下方関節包のモビライゼーション
- 胸椎モビライゼーション(エクササイズバンド・フォームローラー)
- 肩甲骨セッティング(前鋸筋・下部僧帽筋活性化)
(3) 回復期(Recovery stage)
目的:安定性と運動制御の再教育
<介入例>
- ローテーターカフと肩甲骨筋群の協調運動(壁スライド・ダイナミックプランク)
- 全身運動連鎖を利用したファンクショナルエクササイズ(例:スクワット+上肢挙上)
- 日常生活動作に即した動作練習(結帯・頭上動作の再獲得)
5. まとめ
当院では、五十肩の施術は「局所の可動性改善」、「肩甲帯・胸椎のモビリティの回復」、「安定性・運動制御の再教育」の順に進めるのが基本方針となります。
五十肩の施術は時間がかかることが多いですが、なかなか腕が上がらなため日常生活が不自由になっている方もいらっしゃると思いますので、お力になれれば幸いです。
また、強い痛みはないけども肩が動かしづらい、肩こりがひどい、背中が張っているなどがあれば痛みを出現させないためにも早めの対処が必要かもしれません。
お気軽にご相談くださいね。






